●缶チューハイのオープン価格化は時期早々

 チューハイ類を来年からオープン価格にすると発表したキリンビールに対して卸酒販界の大勢は担否反応を示している。「ビール系酒類の新取引制度は、卸・小売間取引総量の60%の移行にとどまり難航しているのに、チューハイ類の市場底上げを目的にオープン価格化に取り組むのは時期尚早だ」と、異口同音にトップメーカーの新たな挑戦の受け入れに後向きな埋由を話す。
 喜多和生・大阪卸酒販組合埋事長は「準備期間が1年足らずのオープン価格化の取り組みでは、ビール系酒類の二の舞となりかねない。食品業界は、流通筋に対する説明など下地づくりに3年程度かけてからオープン価格に移行している。また、オープン価格移行と同時に市場改善を図るのではなく、先に末端価格を立て直して、その後でスムーズな新価格体系導入を進めるべきだ」という。
 ある地場卸の社長は「オープン価格化で氷結のリベートは廃止されると聞いた。支払いりべ−トが少ない当社には損な話だ」という。「組織量販店にノーリベート化に伴う仕入れ条件引き上げを納得してもらう秘策でもあるなら別だが、メーカーと小売の板挟みになって苦しみたくはないし」とは、別の卸筋幹部。
 小売酒販界は今のところ「自店への影響が具体的になってから対応を考える」といった向きが大半で、静感ムード。ただ、中小のディスカウントストアは「チューハイ類オープン価格化がビール系酒類の場合と同様に、大手スーパー優位の構造的変化につながっていくようなら死活問題」と、警戒感を強めている。

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